会長ご挨拶
ご挨拶
この度、第31回日本臨床皮膚科学会総会を、2013年2月1日、2日の2日間、台湾高雄のグランドハイライホテルにて開催させていただくことになりました。大会長という大役を仰せつかり、誠に光栄なことと身が引き締まる思いがします。
ご存じのように2011年は日本にとって多くの災害に見舞われた年でした。私どもの住む岩手県は昨年3月の東日本大震災に被災しました。大会長を仰せつかりました時には、あのようなことが起こるとは夢にも思っておりませんでした。岩手の3月は未だ雪も降る極寒の時期であり、しばらくは停電が続き灯油の購入もままならず震える寒さの中、状況が回復するのを待ちました。毛布にくるまりつつ、未だ見ぬ開催地に思いを馳せていました。2年後の今頃は高雄の暖かい地で、多くの皆様とともに学会を開催しているのだ、今の虐げられた状態を忘れさせてくれるような素晴らしい大会になるのだという希望期待を込めて。あれから1年と数ヶ月が過ぎました。街は平穏を取り戻したような外観ではありますが、沿岸の破壊された地域は更地のままであり、今なお多くの被災された方たちは仮設住宅に暮らし、不自由な生活を強いられています。医療に関しても、未だに満足な復興予算がつかず、検診や仮設診療所での診療を、ボランティアに近い状況で行っています。
日本の2月は寒い時期、温暖な海外に行って心身を癒やしつつ、海外ゲストにも参加していただき勉強しよう、というのが台湾高雄に学会開催の場を決めた理由でした。今回は皮膚外科分野の国際的な発展への寄与を目指し、高雄医学大学の余幸司先生、北京医科大学第一病院皮膚科の航李先生、亞東紀年醫院皮膚科の張英睿先生の、ご高名な海外のゲスト3名を招聘しご講演を賜ります。これらの先生は、各国がそれぞれのスキル、知識を持ち寄ることで、アジアの皮膚外科レベルの向上、共通の診断治療ガイドラインの作成などを画策することを目的とした学会、講演会の運営参加を積極的に行って居られます。演題発表、討論は勿論のこと、この機会にゲストの先生、また会員の諸先生同士でも是非更に交流を深めていただき、それぞれの専門的知識や技術、経験を共有、切磋琢磨することで、参加者全員で今後のアジアの皮膚外科学の進歩の一翼を担いたいと考えます。
そして先日(5月下旬)、ついに高雄に行って参りました。早朝にはすでに30度を超えていましたが、海が近いこともあり不快感のないさわやかな気候でした。湖や公園、伝統様式の寺廟も多く、風光明媚な所で、いただいた料理はどれも美味でありました。学会開催会場は日本とは少々異なるオリエンタルな雰囲気で、外国へ来たという緊張感が味わうことができ、会場のホテルの下の階は漢神百貨店であり、レストランやフードコートも充実しています。ご同伴のご家族、職員の方たちも退屈しないと思います。
それでは、2013年2月1日、2日に皆さんにお会いできる事を楽しみにしております。スタッフ一同で頑張ってプログラム、懇親会など喜んでいただけるよう企画しますので皆様台湾高雄への、奮ってのご参加をお願い申し上げます。
第31回日本臨床皮膚科学会学術大会
大会長 岩手医科大学皮膚科 高橋 和宏